認知症と損害賠償

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昨日の研修

 

平成19年12月7日に認知症にかかっていた患者が

鉄道事故をおこしJR東海から、その妻と子供に対して

損害賠償を請求された。

1審の名古屋地裁(平成25年8月9日)で、妻も長男も

損害賠償責任ありとして、損害賠償金719万円7740円

および遅延損害金を支払えという判決くだされた。

この事件は当時おおきくとりあげられ、認知症をわずらって

いて、徘徊などをする場合、その家族は監督責任があり、

損害賠償を請求されるんだということに驚かされた記憶が

あります。

JR東海は事故をおこした認知症の患者が資産家であった

ことから請求したのではともいわれた事件でした。

 

 

名古屋高裁

 

名古屋高裁(平成26年4月24日判決)では、妻は損害賠償

責任はあるが、子供は損害賠償責任はないと判断された。

この高裁の判断で、子供は、認知症の親の成年後見人に

選任されたことはなく経済的な扶養義務者にすぎないこと

から損害賠償責任はないと判断された。

 

 

最高裁

 

この事件、最高裁(平成28年3月1日判決)で結論がでて

いました。

最高裁は、精神障害者(認知症をわずらっている)を現に

監督しているかあるいは監督することが可能かつ容易で

あるなど、あらゆる面から親族等が精神障害者の行為に

対して責任を問うのが相当な状況だと客観的に認められ

るかどうかから判断すべきだとしている。

 

以上の観点から妻は、自らも当時85才で要介護1の認定を

受けており、自ら認知症の夫を監督することができる状況

ではなかったので責任は問えない。

また、子供である長男は、東京都内で勤務し、20年以上も

両親と同居していない上、週末に両親宅を訪問していたに

すぎないことから監督責任はないと判断された。

 

講師の八ツ尾順一さんが、レジメに書かれていましたように

親族等が介護を積極的に行えば、行うほど「監督責任」が

問われる可能性があるということに、複雑な思いでお聞き

した研修でした。

 

 

 

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編集後記

今朝 ジョギング 11分 今朝は風がないです。。。

認知症患者は現在推定約500万人に達するといわれて

いました。

そのなかで203.551人(平成28年12月現在)が成年後見

制度(保佐・補助含む)利用とのことです。
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